通常面接のポイント

企業が採用活動を行う際に面接を実施する一番の理由は、履歴書や職務経歴書といった応募書類や適性試験結果だけでは判断できない要素を確認することです。

そして、通常面接は複数回にわたって実施され、それぞれのフェーズで面接官によっても面接の目線、評価ポイントが変わります。

以下、面接を受けるにあたり留意するべき点をまとめました。

 

面接官の立場と目線

面接は通常、

1.人事担当者

2.現場管理職

3.経営者層

によって実施されます。

 

採用決定までの面接の回数は企業によって異なりますし、順番も必ずしもこの通りではありません。

例えば人事面接がスキップされる場合もありますし、現場管理職による面接が複数回設定されたり、経営者による面接のみで採用が決定されることもありますが、それぞれの面接で評価されるポイントを押さえて準備をすることで選考通過の確率も変わってきます。

 

各面接フェーズにおける企業の目線と応募者としての留意点は下記の通りです。

 

人事担当者

人事担当者が面接において主に確認したいポイントとしては、募集ポジションの職務遂行能力に加えて、自社に対する志望度、事業目的や企業文化に対する共感度、そして配属予定部門の管理職やメンバーとの相性などが挙げられます。

 

言葉を変えると、自社を牽引するだけのハード・ソフト面でのスキルがあること、内定を出したら承諾すること、そして入社後継続して勤務していただけることです。そのため、人事担当者による面接には必ず下記の3点について準備して臨んでください。

・募集ポジションにおいて活かせる強み

・志望動機

・入社後のビジョン

 

募集ポジションにおいて活かせる強み

これまでの職務経歴を通して培ってきた経験・スキルが、いかに募集ボジションの職務を遂行する上で役立つかを主張できることが重要です。事前にもう一度募集要項と自身の職務経歴書を照らし合わせ、どこにポイントを置いて話すべきかを整理しておきます。

もうひとつ重要なことは、「わかりやすい言葉」を使って話すということです。もちろん人事担当者は自社の募集ポジションの内容については理解していますが、それぞれの領域の専門家ではありません。ことさらに専門用語を駆使するのではなく、難しい内容を易しく伝えるコミュニケーション力があるということも試されている、という気持ちで説明しましょう。

 

志望動機

前述したように、人事担当者が面接において確認したい重要なポイントのひとつは、「内定を出したら承諾してもらえそうか」ということです。類似したポジションが他社にも存在する場合は、「なぜその職種を希望するのか」だけではなく、「なぜその企業を志望するのか」について納得性のある説明をする必要があります。

同時期に複数の企業に応募することはあり得ることですが、それぞれの企業の特色を理解した上で、企業毎の志望理由を準備しておきましょう。1社のみに絞って応募をしている場合でも、しっかり業界研究をし、他社との比較の中で当該企業の優れている点を挙げて説明することで印象が上がります。

 

入社後のビジョン

手間ひまをかけて入社してもらうからには、継続して勤務し企業に貢献してほしいと考えるのは人事担当者として当然のことです。その点では、入社後何がしたいのか、どのようになりたいのかを自分自身のキャリアプランと関連付けて説明できることが大事になってきます。

その際に自分自身の実務経験の蓄積や成長のみにベクトルを向けるのではなく、事業目標の達成や企業の発展、経営理念の実現を念頭に置いた、いわゆる”Win-Win”の状況を作り出せるようなビジョンを伝えることができればベストです。

 

現場管理職

現場管理職による面接は、基本的には入社後に直属上司になる人、そしてその上位にあたる役職者によって行われます。そこでは、下記の2点が重要な確認ポイントになります。

・募集ポジションの要件を満たしているか(即戦力として使えるか)

・将来一緒に働くチームメンバーとしてふさわしい人物か(一緒に働きたいと感じるか)

 

募集ポジションの要件を満たしているか

人事担当者による面接と比べて、過去の業務実績や専門能力・スキル等について、より深く突っ込んだ形で質問が行われます。

同じ専門分野で仕事をしている面接官に対してアピールができるよう、売上目標の達成やプロジェクトの完了、資格の取得といった客観的な事実だけではなく、その事実が持つ意味(難易度、重要性、貢献度など)やそこに至るまでのプロセスについても併せて伝えるようにします。

これまで経験してきた職種とは異なる未経験の職種に応募する場合は「自分の経験がどのような形で役立つのか」を説明する必要があります。募集ポジションとは関係のない実績をひたすら主張しても興味を示してもらえません。「経営コンサルタントとしての経験はないが、事業会社の経営企画担当として外部のコンサルタントと協力してプロジェクトを成功に導いた」、「人事担当としての経験はないが、IT担当として最新の人事管理システムの導入に関わった経験があるので、人事の業務プロセスやその改善手法については理解している」等、これまでの経験を活かして貢献できると思われるポイントについて具体性をもって面接官に伝えましょう。

 

将来一緒に働くチームメンバーとしてふさわしい人物か

いくら実務経験や専門能力・スキルがマッチしていても、組織の中で働く以上、他のメンバーと良好な関係を保ちながらチームワークを発揮して業務遂行できなければトラブルの原因になりえます。その意味でも面接では、将来の上司となる面接官自身や他のメンバーとの相性もチェックされます。企業によっては事前に適性検査の一環として性格診断を実施しています。

逆に言うと、応募者の方にとっても、自分が気持ちよくモチベーションを持って働くことができる職場であるかどうかを判断するための情報を得るために、現場管理職による面接は重要な機会です。チームマネジメントや人材育成等、仕事に対する考え方を話してもらうための質問を準備しておくと良いでしょう。

 

経営者層

経営者層による面接(役員面接)の目的は、それまでの選考プロセスにおける評価結果を踏まえ、採用可否の最終判断をすることです。そして、採用可と判断した場合には、その場で応募者の入社意欲の確認、あるいは喚起を行うことも多いようです。

 

最終面接に臨むにあたって留意すべきポイントは下記の3点です。

・過去の面接における回答との一貫性

・企業理念、経営理念に関する理解と共感

・面接官の立場にふさわしい質問

 

事前の面接における回答との一貫性

経営者層による面接の前にはすでにご説明した人事担当者による面接や現場の管理職による面接が実施され、その結果は面接官に共有されていることが一般的です。ただ、事前の面接で質問された事項であっても、あえて確認の意味でもう一度、面接官の言葉で質問をすることがあります。その場合は内容を省略することなく、そして一貫性のある回答をすることが重要です。面接の段階によって異なった回答をしてしまうと、それがわかった場合に信頼を失ってしまうことになりかねません。

 

企業理念、経営理念に関する理解と共感

経営者層に属する面接官の場合、企業理念や経営理念に対してより強い思い入れを持っていることが想像できます。面接前にあらためて会社のパンフレットやホームページ上でその詳細を確認し、共感できるポイントをまとめておきましょう。

 

面接官の立場にふさわしい質問

「最後に何か質問はありますか?」と聞かれた場合に備えて、意欲や能力をアピールできるような質問を用意しておきます。上記した企業理念や経営理念に関する質問でも良いですし、十分な情報が入手できていて質問が思いつかない時でも、「特にありません」と一言で終わらせるのではなく、あらためて面接の機会を持ってくれたことに対する感謝の言葉とともに、面接を通じてさらに入社意欲が高まったことを伝えましょう。

逆にその場で給与条件や職務内容の詳細について質問をするのは適切ではありません。それぞれ人事担当者や現場管理職が回答すべき内容です。本当に必要であれば、後日あらためて質問すべきです。