事業再生、ハンズオン系コンサルの業務内容を解説

転職コラム

「事業再生」「ハンズオン」・・・。コンサル業界では、これらの言葉をよく聞くことがあります。

言葉からは、何をやっているのかが一見わかりづらいコンサルですが、実は、戦略コンサルなどとは大きく異なる点があります。

今回は、事業再生、ハンズオン系コンサルの業務内容について解説します。

1.「ハンズオン」な事業再生コンサルタントとは?

「ハンズオン(Hands-on)」とは、もとは「手を触れる」ことから、「体験学習」を意味する語です。コンサル業界の文脈では、転じてクライアント企業に入り込み、経営に非常に近い距離感で戦略を実行するコンサルタントのことを指します。

戦略コンサルタントとの違い

戦略コンサルタントが担当するクライアントは、いわゆる大企業が多くて、プロジェクトも部署単位で取り組む形になるため、、経営陣と直接やり取りをするという機会はほとんどありません。一方で、ハンズオンで取り組む事業再生コンサルタントの場合、実際にクライアントと同じフロアに席をお借りして、経営陣の方々がすぐ側にいるような環境で毎日一緒に仕事をしながら議論を行います。従来の戦略コンサルタントに比べ、よりクライアントに入り込んだ形で支援することができるのが大きな特徴といえるでしょう。

引き受けるプロジェクトの種類

事業再生コンサルタントが担当するプロジェクト内容としては、売上アップを目指すパターンももちろんありますが、それ以外に例えば利益額であったり、コスト削減であったりと様々です。また、場合によっては、必ずしも定量的に推し量れないケースもあります。その場合には、例えば定性的に、改革のプロジェクト進捗度合などで定義したうえで仕事をすることになります。

ハンズオンで取り組む事業再生コンサルタントの場合、年間の売上高で数十億円から、数百億円の前半までの企業にアプローチをする場合が多いそうです。そのような企業のプロジェクトでは2-3名で担当する場合もあれば、それ以外にももっと大規模な案件を手がけることもあり、その場合には4、5名という体制で対応することもあります。

2.事業再生コンサルタントの仕事内容

事業再生コンサルタントの仕事は、大きく分けて

①企業診断に基づいてそれぞれの企業にあった「処方箋」を書く(提案フェーズ)

②「処方箋」の内容をもとに、コミットした内容を達成していく(実行フェーズ)

の2つのフェーズに分かれます。それぞれについてみていきましょう。

第1フェーズ:企業診断に基づいてそれぞれの企業にあった「処方箋」を書く

まず事業診断から始めて企業様の経営課題を特定し、それに基づいた実行計画を策定します。このフェーズは大体3か月ぐらいで完了することが多いです。

企業側にとってみると、第1フェーズでは外部から入ってきた人間と初めてコミュニケーションをとることになるので、「どのような人たちなのか?」と興味を持って観察しています。そこでコンサルタントも、分析作業を行う中で密にコミュニケーションを取りながら、まずは信頼関係を築き、それをベースに実行フェーズに移っていくことになります。最初の3ヶ月でしっかりした信頼関係を築いておくことで、実行フェーズにおける協働をスムーズに進めることができます。

第2フェーズ:「処方箋」の内容をもとに、コミットした内容を達成していく

成果報酬型でお仕事をするにはある一定の期間をかけて取り組む必要があるため、まずは年間で契約を結び、多くの場合は契約を更新して、結果として3年間くらい第2フェーズがかかることが多いそうです。

3.ハンズオンコンサルの魅力

シニアなメンバーと若手メンバー両方にとって、ハンズオンコンサルは大きな魅力があります。

まず、シニアなメンバーに関しては、普通のコンサルファームと違って、取締役、社外取締役、あるいはCxOといったポジションをいただいてお仕事をすることが非常に多いことが特徴です。経営者視点でクライアントの組織における責務を負って仕事ができる機会が得られるというのが大きな魅力であると考えられます。

一方、若手メンバーにとっての魅力としては、クライアントの業務にハンズオンでがっつりと入り込んで仕事ができるという点が挙げられます。クライアント先でも自分の上司であるシニアなメンバーから直接指示を受けながら仕事ができる環境も含め、若い方にとって良い経験になると思いますし、他のファームと比べて差別化できる点です。

経営執行支援のスタイルとして、取締役もしくはCxOといった経営の主要なポジションにつき、しっかり仕事をするということは、ポストコンサルとして一歩踏み込んだキャリアを積むために非常に魅力的な機会であるいえそうです。

4.新型コロナとハンズオンコンサル

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、飲食業界など多くの業界が打撃を受けています。そんな中事業再生コンサルは、先の見えない「ウィズコロナ」「アフターコロナ」に向けて様々な企業を支援しています。特に先の見えない情勢であるからこそ、どのように仮説立てをし、その仮説を信じて戦略を立案していくかが喫緊の課題になっています。

たとえば、外食業界で考えてみましょう。お店に来て食事をしていただくというところでは、おそらくビフォーコロナの水準には戻らないだろう、戻っても9割を少し超える水準にとどまるだろうと見立てられるでしょう。それを前提とした場合に、別のチャネルでどのように補っていくのかということを経営陣の方々とともに考えていく必要があります。外食でいうとテイクアウトやデリバリーという方式が考えられますが、そこに注力していくのか、あるいは来店いただくお客様に価値を感じていただくために提供する商品を磨き込む、更にはマーケティング面から来店を促していく等、いろいろな選択肢がありそうです。そういった取り組みを通じて、ビフォーコロナ時とのギャップをいかに埋めていくかを経営陣の方々と議論しながら形作ったものを実行に移していくのです。

状況はクライアントによってそれぞれ違ってきますし、それ以前にそもそも誰も正解を持っていない中で暗中模索していくと言うところが大きなチャレンジであると言えます。先の見えないコロナ禍において、クライアントとともに向き合って課題を解決していくハンズオンコンサルの役割はますます大きなものになっているといえます。

5.まとめ

今回は、ハンズオンコンサル・事業再生コンサルの業務内容について特集しました。業務内容のイメージがつきましたでしょうか?

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