PwCあらた有限責任監査法人 FRA

 

今回はPwCあらた有限責任監査法人(以下PwCあらた)財務報告アドバイザリー部 (Financial Reporting Advisory:以下FRA)のリードパートナーである長沼様にお話を伺ってきました。

 

PwCあらた有限責任監査法人:財務報告アドバイザリー部 (Financial Reporting Advisory:以下FRA)パートナー 長沼 宏明様

 

 

グローバル企業のCFOの課題を解決するFRA

――長沼様のご経歴を教えてください。

1991年新卒で大手金融機関に入社し、6年半法人営業を経験したのち、「専門性を身に付けたい」「グローバルに活躍したい」という思いから米国公認会計士の資格を取得し、当時の中央監査法人(中央青山監査法人)に入社しました。その後、あらた監査法人(現、PwCあらた)設立時に移籍しています。
監査法人に入社後は会計監査業務に10年弱従事したのちに2年間のニューヨーク駐在を経験しました。ニューヨークからの帰任後は10年以上にわたってアドバイザリー業務に携わっています。PwCあらたのアドバイザリー業務立ち上げメンバーの一人でもあります。

 

――FRA部門の事業内容や特徴について教えてください。

FRAは財務報告に関するアドバイザリー業務を担当する部門であり、日本のグローバル企業の財務・経理部門が主なクライアントです。発足当初から異なる会計基準へのコンバージョン業務や内部統制関連のアドバイザリー業務を提供してきました。それらは今でも中心的な業務である一方で、クライアントの課題に寄り添う形でFRAの対応できるソリューションは急速に拡大しています。例えばデジタル技術を用いた経理決算業務の効率化やグローバルM&Aの支援などが主要業務に育っていますし、最近ではESG関連の業務の引き合いが増えてきています。
私たちの中で2022年7月に大きな動きがありました。それは金融機関向けサービス・事業会社向けサービス・IPO支援を行う3部門が1つに統合されたことです。この再編により会計の専門性を持つ組織としては業界最大級となる約400名体制となり、すべての業種の大規模案件に柔軟に対応することが可能となりました。私たちはグローバル企業のCFOの課題をすべて解決できる組織にしたいと思っておりますが、これが実現できる環境になったかと思います。

 

――グローバル企業のCFOが抱える現在の課題とはどのようなものでしょうか。

私たちは日本にあるグローバル企業に貢献することにフォーカスを当てておりますが、主な課題は2つ、グローバル化とデジタル化と考えています。その2つの課題とも根本原因は少子高齢化による日本のマーケット縮小にあります。トップラインを伸ばすためには海外に出るしかない一方、グローバル企業における経理財務業務が高度化し専門性が増していく中でそれを担う人材がどんどん減少している現状があります。それらを踏まえて企業はデジタル技術を使って経理財務業務を効率化していき、労働力やコストを抑えてオペレーションを回していく必要があります。

 

――――企業がグローバル展開を強化していく上でM&AやJV設立などによる非連続型の成長を狙っていく動きがあり、それに付随したCFOイシューも発生してきているかと思います。その観点での課題についてお伺いできますか。

やはりインテグレーションですよね。オーガニックで始める場合はゼロからのスタートなので、そこまでCFOイシューはないですが成長は遅くなります。一方インオーガニック・買収の場合には、カルチャーやオペレーションまですべてを統合する必要があり、どこまで日本に機能を残すのか、どこまで海外に任せるのか、といった点がどの会社もすごく苦労することといえます。そこにまさに私たちグローバルファームの活躍の余地があるとみております。私たちと現地のPwCメンバーファームがチームを組んで、買収側・被買収側の間に立って経理財務業務の統合やガバナンス整備などの支援を行っております。

 

――デジタル化も大きな課題とのことですが、以前から企業各社がデジタル化に取り組まれているにもかかわらず未だ課題となっているのはなぜでしょうか。

一言でいうと業務が複雑すぎるからだと思います。どの会社も規模が大きくなればなるほど基幹システムにデータを入れるまでの工程が複雑化していく傾向にあります。ここをひもといて標準化・自動化していくことは非常に難易度が高いです。上流工程の業務やデータをどこまで標準化できるのか、またグローバル企業においては各国で異なる会計基準への対応なども課題かと思います。

 

――ちなみになぜここまで複雑化してしまったのでしょうか。

例えば日本の金融業ですと、何度も合併を繰り返してきた中で旧母体ごとの異なるプロセスが統合されず残ってしまっているようなこともあります。それらが積み重なった結果が、現在の不効率なオペレーションの一因になっていると思われます。また会計領域ですと、会計ビッグバン後にIFRSを導入する企業が増えるなど、プロセスを固定しづらい状況が続きました。今後は大きな会計制度の変化はないと推察されることから、各企業とも会計プロセスの標準化、システム化はしやすい環境になってきていると思います。

 

――先ほどお話のあったグローバル企業で経理人材が確保できていないという点に関して、専門性が身に付き、かつどの会社にも共通する機能であるにも関わらず人材確保に苦戦しているのはなぜでしょうか。

企業のグローバル化によってその活動や取引が非常に複雑化しました。企業活動の結果を映す鏡である経理財務業務も企業活動にあわせて複雑化して難易度が増しており、それらを正確にかつスピーディーに行うためには非常に高い専門性が求められるようになってきています。それぞれの企業が、自社のコア業務ではない経理財務の領域で専門人材を採用し、育成していくことが年々困難になっている現状があります。
このようなことから、欧米企業を中心にコア業務以外はアウトソーシングする動きが活発化してきており、いずれ日本でもその流れは加速していくものと考えています。FRAにもクライアントからの、経理財務業務のアウトソースの依頼が年々増え続けています。

 

――そのような情勢を踏まえ、FRAにおける今後のアプローチはどのように想定されていますか。

重点領域は、引き続き「ファイナンストランスフォーメーション」と「グローバル業務」になってくるかと思います。「ファイナンストランスフォーメーション」においてはデジタル技術の活用でクライアントの経理財務業務の効率化を進めていきます。「グローバル業務」については特にインバウンド、アウトバウンドのM&Aサポート、中でもインテグレーションの支援を行っていきます。これらはすでにFRAでは大きな業務の柱になっていますが、今後成長はますます加速していくかと思います。また、急速に伸びつつあるのが経理財務業務のアウトソースです。

 

 

「楽しく明るくさわやかに」FRAでアドバイザリー業務をやる意義とは

――会計知見を活かした働き方として、コンサルティングファームの会計ユニットやFASなどといった選択肢もあるかと思います。その中でも「監査法人でアドバイザリー業務に関わる意義」とはどのようなものでしょうか。

プロフェッショナルファームのパートナーになる、独立開業する、またグローバル企業やベンチャー企業のCFOを目指すなど、どの道を進んでも最終的なゴールは会計を極めるということで一緒かもしれません。ただ、同じ会計に関わる中でもどこに所属するかで培われる強みは変わると認識しています。
例えばコンサルティングファームやFASに所属するとスピード感や柔軟性、マネジメントスキルなどが培われるかと思います。
一方で私たちPwCあらたやFRAの強みは法令や制度を熟知していることであり、FRAでアドバイザリー業務を行うことによって、法令・制度の知識に基づいて企業活動を変革していく力が養われます。PwCあらたやFRAには長い時間をかけてクライアントと関係構築をしていくカルチャーがあるので、じっくりと腰を落ち着けて仕事をしたいという方には合うのではないかと思います。

 

――会計人材として考えうるキャリアパスについて教えてください。

先ほども触れましたが、私たちのようなプロフェッショナルファームのパートナー、独立開業、またグローバル企業やベンチャー企業のCFOなどでしょうか。最近、企業のCFOや財務部長ポジションを目指す方、またベンチャー企業に転じる方が増えてきていると感じます。
もちろん私としてはFRAで長く働いていただき、最終的にPwCあらたのパートナーとして活躍していただきたいですが、そうではなくて企業のCFOになる過程でFRAに在籍していただき、成長の場として活用していただくこともありだと思っています。

 

――ちなみに長沼様自身も他社から誘われることも多々あったかと思います。20年以上にわたって御社でキャリアを築かれている理由、そこから見えるPwCあらた・FRAの魅力は何でしょうか。

やはり人とのつながりでしたり、常にチャレンジを与えてくれる環境という点が大きいかと思います。常に目をかけてくださる上司・先輩・同僚がいて、海外駐在や職位アップに伴う業務の幅の広がりなど、新しいチャレンジを提供してくれるファームだと思います。
他監査法人やコンサルティングファームからくる方も多いですが、皆さん口を揃えてFRAには風通しが良いフラットなカルチャーがあると言いますね。特にパートナーとの距離が近く、スピークアップカルチャーが根付いているのかもしれません。

 

 

――今後FRAという組織をどうしたいとお考えですか。

いつも私が口にしているのは「明るく楽しくさわやかな組織にしたい」ということです。特に1番強調したいのは「さわやか」という部分であり、お互いに思いやる・誠実に真摯にふるまうことで気持ちよく仕事ができる組織にしたいと思っています。これを実現するために事あるごとにこの「明るく楽しくさわやか」を発信し続けており、その甲斐あって現在では少しずつ浸透してきていると感じます。これはPwCの行動規範であるAct with integrity・Make a difference・Care・Work together・Reimagine the possibleにもつながるかと思います。
また、所属するメンバーの皆さんに少しでも多くの成長の機会を提供したいので、今後も10%以上の業務拡大を目指していきたいと考えています。

 

――上記を踏まえ、どのような方にご入社していただきたいですか。

多様な方々にFRAに参画していただきたいです。もちろん私たちのコアコンピテンシーは会計や内部統制ですので、そこに知見・経験のある方やスキルを磨いていきたい方には、ぜひ仲間に加わっていただきたいです。一方、業務が多様化している現在において、プロジェクトマネジメント力を持つ方、デジタルに強い方、経理実務を知り尽くしている方など、資格のあるなしにかかわらず、自分の強みを生かしてクライアントに価値提供していける方にぜひ参画してほしいと考えています。FRAはメンバーそれぞれの強みを活かすことができるフィールドであり、多様なメンバーの強みを結集しないとCFO課題というものは解決できません。
コンサルタント未経験の方にも安心してご入社いただけるように、コンサルティング基礎研修など育成制度も充実しておりますので、ご心配せずにご入社いただきたいです。

 

――最後にご転職を考えている皆様にメッセージをお願いいたします。

私たちの組織に入っていただければ専門家として成長できる場や機会をご提供できるかと思います。ぜひ成長中のFRAで一緒に成長していただける仲間をお待ちしております。

 

 

【参画者】
・PwCあらた有限責任監査法人:FRA パートナー 長沼 宏明様
・株式会社インフォエックス Chief Operating Officer/江口 遼
・株式会社インフォエックス コンサルタント/伊藤 くる美

 

※この記事は2023年2月時点の社名を利用しています。
PwCあらた有限責任監査法人はPwC京都監査法人と合併し、2023年12月1日付でPwC Japan有限責任監査法人に名称変更いたしました。