金融業界や転職を考えている人がまず知っておくべき金融・財務用語

転職コラム

はじめに

金融業界は、複雑で多岐にわたる専門用語が飛び交う世界です。特に人材業界やコンサルティング業界で金融に関わる仕事をする場合、金融の基本的な用語を理解することが非常に重要です。また、金融業界への転職を考えている人にとっても、知識としてこれらの用語を押さえておくことは、仕事をスムーズに進めるための第一歩となります。本ページでは、金融業界に関連する基本的な用語をわかりやすく解説し、実際の業務に役立つ知識を提供します。

DCF法DCF法(Discounted Cash Flow法)は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を算定する財務分析手法である。企業評価やM&A(合併・買収)、投資判断の際に広く用いられ、投資のリスクや期待収益を考慮する点が特徴。具体的には、まず事業計画を基に将来のキャッシュフローを予測し、それをWACC(加重平均資本コスト)を使って現在価値に割り引くことで、企業の適正価値を算出する。しかし、DCF法は予測の精度や割引率の設定によって結果が大きく変わるため、慎重な検討が必要となる。
EVAEVA(Economic Value Added:経済的付加価値)は、企業が投資家に対してどれだけの価値を創出したかを測定する財務指標である。計算式は「EVA = 税引後営業利益 – 資本コスト」であり、企業が本業で得た利益が、投資家の期待リターン(資本コスト)を上回っているかを示す。EVAがプラスであれば、企業は資本を有効活用し、価値を創造していると評価できる。企業の経営効率や収益性を測る重要な指標として活用される。
ESES(Employee Satisfaction:従業員満足度)は、企業における従業員の満足度を示す指標であり、組織の生産性や業績に直結すると考えられている。従業員満足度が高い企業は、離職率が低く、業務パフォーマンスが向上しやすい傾向にある。そのため、多くの企業がES向上のために福利厚生の充実、キャリア開発の支援、職場環境の改善などの施策を講じている。ES向上は、企業の競争力強化や顧客満足度(CS)の向上にもつながる。
FSFS(Feasibility Study:フィージビリティスタディ)は、事業やプロジェクトの実現可能性を評価するための調査・分析のことを指す。市場調査、技術的な検証、財務シミュレーション、法的リスク評価などを含む。新規事業や大規模投資を実行する前に、プロジェクトが実行可能かどうかを判断するために行われる。FSの結果によって、投資の決定や戦略の見直しが行われることが多い。
KGIKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)は、企業やプロジェクトの最終的な成功を測る指標のことを指す。KPI(重要業績評価指標)と異なり、KGIは最終的なゴールを示すものであり、例えば「年間売上100億円」「市場シェア30%の獲得」などのように設定される。KGIを達成するために、複数のKPIを設定し、進捗を管理することが一般的。企業経営やプロジェクトマネジメントにおいて、目標の達成度を測る重要な指標となる。
NDANDA(Non-Disclosure Agreement:秘密保持契約)は、企業間や個人間で秘密情報を共有する際に交わされる契約のことを指す。NDAにより、機密情報の漏洩を防ぎ、知的財産や事業戦略の保護を図る。特にM&A、技術開発、ビジネス提携などの場面でよく用いられる。NDA違反は法的責任を伴うため、契約内容を十分に理解した上で締結することが重要である。
PDSPDS(Plan-Do-See)は、計画(Plan)、実行(Do)、評価(See)の3つのステップからなる業務改善のフレームワークである。PDCA(Plan-Do-Check-Act)と似ているが、PDSは特に評価(See)の部分を強調し、結果を重視する点が特徴。業務プロセスの改善やプロジェクトの進行管理に用いられることが多い。
SOX法SOX法(Sarbanes-Oxley Act)は、2002年に米国で制定された企業改革法で、企業の財務報告の透明性を高め、不正会計を防ぐことを目的とする。特に、企業の内部統制や監査制度の強化を求める内容が含まれており、上場企業にとっては遵守が義務付けられている。日本でもJ-SOX(日本版SOX法)として適用され、財務報告の適正性が求められるようになった。
ベンチマークベンチマークとは、業界の優良企業や競合他社の成功事例を参考にし、自社の業務改善や経営戦略に活かす手法のことを指す。IT業界では、システムやアプリの性能比較にも用いられる。企業の競争力を強化するために重要な分析手法であり、定期的なベンチマークを行うことで、市場動向に適応した戦略を策定できる。
デューデリジェンスデューデリジェンス(Due Diligence)は、企業買収や投資を行う際に、対象企業の財務状況、法的リスク、事業の健全性などを詳細に調査するプロセスのことを指す。M&Aの際に特に重要で、デューデリジェンスを通じて、潜在的なリスクや価値を評価し、適切な投資判断を下すことが求められる。財務デューデリジェンス、法務デューデリジェンス、ビジネスデューデリジェンスなど、複数の側面から行われる。
フィージビリティスタディフィージビリティスタディ(FS)は、事業やプロジェクトの実行可能性を評価するための調査のことを指し、市場調査、技術的分析、財務予測、法的リスクの評価などを含む。新規事業や大規模な投資を行う際に不可欠であり、FSの結果に基づいて事業の実施可否が判断される。
企業年金企業年金とは、企業が従業員の退職後の生活を支援するために提供する年金制度であり、確定給付型(DB)と確定拠出型(DC)の2種類がある。確定給付型は企業が一定額を保証する制度で、確定拠出型は従業員が運用リスクを負う形態となる。
内部統制内部統制とは、企業が適正な業務運営を行うために設ける管理体制のことを指し、不正防止、法令遵守、業務効率化などを目的とする。SOX法(J-SOX)により、上場企業には厳格な内部統制の整備が求められる。
移転価格コンサルティング移転価格コンサルティングは、多国籍企業が関連会社間で取引を行う際の価格設定(移転価格)を適正に管理し、税務リスクを回避するための支援を行うサービスである。各国の税制に適合した価格設定を行い、税務調査のリスクを軽減することが目的。
アセットマネジメントアセットマネジメント(Asset Management)とは、資産運用を指し、投資家や企業が保有する資産を効率的に管理・運用し、最大のリターンを得ることを目的とする。資産には、不動産、株式、債券、投資信託、現金などが含まれる。個人向けの資産運用では、証券会社やファンドマネージャーが資産配分を決定し、リスクを管理しながら最適な運用を行う。一方、企業のアセットマネジメントでは、不動産管理や設備投資、財務戦略の一環として活用される。近年では、AIを活用したアルゴリズム取引やロボアドバイザーによる運用も増加しており、多様な手法が用いられている。
キャピタルゲインキャピタルゲイン(Capital Gain)は、資産の価格上昇によって得られる利益を指す。例えば、株式を100万円で購入し、それを150万円で売却した場合、50万円のキャピタルゲインが発生する。対照的に、資産価格が下落し、売却時に損失が生じる場合は「キャピタルロス(Capital Loss)」と呼ばれる。キャピタルゲインは投資の重要な収益源の一つであり、課税対象となる場合が多い。特に不動産投資や株式市場での売買において、投資家はキャピタルゲインを狙う戦略を取ることが一般的である。
クレジットリスククレジットリスク(Credit Risk)とは、借り手(企業や個人)が債務を履行できなくなるリスクのことを指す。銀行や金融機関は、融資を行う際にクレジットリスクを評価し、信用格付けや金利設定に反映させる。例えば、企業が社債を発行する際、その企業の財務状況が悪化すると債務不履行(デフォルト)が発生し、投資家は損失を被る可能性がある。そのため、クレジットリスク管理には、信用調査、保証制度、デリバティブ商品の活用などが行われる。
コーポレートファイナンスコーポレートファイナンス(Corporate Finance)とは、企業が資金を調達・運用し、価値を最大化するための財務戦略を指す。主な要素として、資本構成の最適化(株式発行・社債発行・銀行融資)、投資判断(DCF法によるプロジェクト評価)、配当政策(利益の再投資と株主還元のバランス)などがある。企業は、成長戦略を実現するために、M&A(合併・買収)や資本コストの最適化を検討することが多い。
デリバティブデリバティブ(Derivative)は、株式や債券、通貨、商品などの原資産の価格変動を基にした金融派生商品であり、主にリスクヘッジや投機目的で取引される。代表的なデリバティブには、先物(Futures)、オプション(Options)、スワップ(Swaps)などがある。例えば、企業が為替リスクを回避するために為替デリバティブを利用するケースがある。一方、過度な投機取引により市場の不安定化を招くリスクもあるため、規制が強化されている。
ハイリスク・ハイリターンハイリスク・ハイリターンとは、投資においてリスクが高いほどリターン(収益)も大きくなる可能性があるという原則を指す。例えば、新興企業の株式や暗号資産(仮想通貨)への投資は、大きな利益を生む可能性があるが、価格変動が激しく、元本割れのリスクも高い。同様に、信用リスクの高い企業の社債は、高金利であるがデフォルトリスクも大きい。投資家は、リスク許容度に応じたポートフォリオを構築し、リスクとリターンのバランスを取ることが求められる。
バランスシートバランスシート(Balance Sheet、貸借対照表)は、企業の財務状況を示す決算書の一つであり、「資産(Assets)」「負債(Liabilities)」「純資産(Equity)」の3つの要素から構成される。バランスシートは、企業がどのように資産を保有し、どのように資金を調達しているかを把握するための重要な指標である。投資家や金融機関は、バランスシートを分析することで、企業の財務健全性や経営の安定性を評価する。
マネーサプライマネーサプライ(Money Supply)は、経済全体で流通している貨幣の総量を示す指標であり、中央銀行の金融政策の重要な要素となる。マネーサプライは、M1(現金+当座預金)、M2(M1+定期預金)、M3(M2+大口定期預金・金融機関の預かり金)などの区分に分類される。マネーサプライが増加すると、経済活動が活発化し、インフレーションの要因となる場合がある。一方、過度な引き締めは景気後退を招くため、中央銀行は適切な調整を行う必要がある。
ローンポートフォリオローンポートフォリオ(Loan Portfolio)は、金融機関が保有する貸付金(ローン)の総体を指し、銀行やノンバンクが融資をどのように分散させているかを示す。ローンポートフォリオの管理は、貸し倒れリスクの分散や収益性の向上に直結する。例えば、不動産ローン、企業向け融資、個人向けローンの比率を調整することで、リスクをコントロールしながら収益を最大化することが可能となる。
リスクマネジメントリスクマネジメント(Risk Management)とは、企業や投資家が直面する様々なリスク(市場リスク、信用リスク、オペレーショナルリスクなど)を特定し、それを最小化するための戦略を策定・実行するプロセスのことを指す。例えば、金融機関ではデリバティブを活用したヘッジ戦略を導入し、企業では災害や情報漏洩リスクに備えた危機管理計画を策定する。適切なリスクマネジメントは、企業の持続的成長や安定した財務運営に不可欠である。

まとめ

金融業界や金融関連の仕事に携わる際、基本的な用語を知っておくことは大きな強みになります。今回紹介した用語を理解することで、業務の理解が深まり、転職活動や日常業務にも自信を持って臨めるようになるでしょう。これからも実践的に用語を使いこなし、金融業界でのキャリアを築いていくための一歩を踏み出してみてください。

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