1.保険業界の概要
保険業界は「Insurance」と一括りにされることが多く、ファームによっては「金融インダストリー」のサブチームに分類されることもあります。しかし、銀行やリース、証券と比べてビジネスモデルが大きく異なるため、専門的な知識が必要です。保険インダストリーが金融インダストリーに含まれている場合、パートナーが不在のことが多く、トップポジションを狙うチャンスがあるかもしれません。
2.保険ビジネスの歴史と現状
保険ビジネスは、一定期間のうちに起こる特定の事象に対するリスクを管理し、掛け金を集めてその資金を運用し、保険金を支払うという長い歴史を持っています。しかし、現代の不確実性が高まる中、保険ビジネスも変革期を迎えています。この10年間で、日本ではM&Aが進み、プレイヤーが集約されてきました。
3.現代の保険コンサルタントが向き合う課題
リスクが多すぎる
気候変動、自然災害、サイバー攻撃、国際情勢、パンデミック、少子高齢化など、リスクが増加しています。新たな保険商品の開発が進められていますが、それらのリスクをどのように定量評価するかは未知の領域です。AIや機械学習を活用することが求められています。
資金の運用が難しい
低金利の現在、保険料をどのように運用して増やすかが重要な課題です。投機性の高い投資は避けなければならず、ESGの観点からも考慮する必要があります。
レガシーシステムの問題
いまだに紙とハンコを使った契約が多く、デジタルトランスフォーメーションが進められていません。影響範囲が大きいため、どのようにデジタル化を進めるかが課題です。
保険金を支払わないで済む方法
予防的なアプローチや顧客のQOL向上を目的とした事業創造が進められています。異業界との連携やインシュアテックの活用が重要です。
4.求められる経験や知見
保険ビジネスの知見
保険特有の業務や経験が重宝されます。また、業界での長年の経験を持つ事業マネジメント経験者が管理職待遇で迎え入れられるケースもあります。
オペレーションプロセスの構築やシステム化の経験
保険業界の知見がなくても、オペレーションプロセスの構築やDXの経験があれば応用が効くことがあります。
異業種での経験
ヘルスケア業界や自動車業界など、保険業界と連携する異業種での経験が求められることもあります。
5.保険業界の重要性
保険業界は挑戦者を後押しする存在であり、コンサルタントはその支援を通じて挑戦者に優しい世界を創り出す役割を担っています。
保険業界に向き合うインダストリーコンサルタントの顧客は、挑戦者に優しい世界を創ることが求められます。向き合う課題は、リスクマネジメントの高度化、より高度な資産運用、レガシースタイルからの変革・DX、新たな事業創出です。活かせる能力や経験は、保険特有のビジネス理解、オペレーション構築・システム化、異業種の知見です。
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