Industry/ヘルスケア・ライフサイエンス編~総合コンサル大解剖~

転職コラム

1. ヘルスケア・ライフサイエンスの概要

今回は「ヘルスケア・ライフサイエンス」についてお話しします。この領域に属する企業は、「医薬品メーカー」や「医療機器メーカー」が中心です。

「ヘルスケア」と聞くと病院を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実際には病院やクリニックは大手コンサルティングファームの主要顧客には含まれていません。これは、病院やクリニックが年商数千億円規模のビジネスを展開していることが少ないためです。病院を相手にする場合は、主に「公共インフラ=パブリックセクター」のインダストリーコンサルタントが担当しています。

2. ヘルスケア・ライフサイエンスのビジネスステージ

「Life Science」「Healthcare & Wellness」などの略称で「LS」や「HC」といったユニット名がついていることが多く、このインダストリーに属します。年商数千億円規模のライフサイエンス企業の顧客は、基本的に全世界の患者に対してビジネスを展開しており、そのステージはグローバルです。

3. グローバル展開における課題

規制の複雑さ

各国の医薬法規制や医療制度が異なるため、グローバルビジネスを展開する際にはこれらの法規制に対応しながら戦略を立てる必要があります。例えば、隣国間でも医薬品の使用が異なる場合や、価格が大きく異なる場合があります。これに対応するためには、各国の法規制を理解し、柔軟に対応する能力が求められます。

コスト圧力

医療費の高騰に伴い、薬価の引き下げが求められることが多く、特許切れによるジェネリック医薬品の台頭も大きな脅威となっています。新医療技術の投入には多額のコストがかかるため、企業はコスト削減圧力と戦いながら最適な解決策を模索しています。

リスク管理

コロナウイルスの影響や地政学的リスクにより、サプライチェーンや品質管理のリスクが顕在化しています。新薬の研究開発には膨大なコストがかかり、製品の製造プロセスもリスクが伴います。これらのリスクを管理し、シナリオプランニングを行うことが重要です。

新たなエコシステムの構築

ヘルスケア産業は、新たなエコシステムを作り上げる動きが進んでいます。保険会社、公共機関、病院ネットワークなどが連携し、データを活用した新しいビジネスモデルを構築することが求められています。このエコシステムの構築により、医療保険に依存しないビジネスの進め方が可能になります。

4. 求められる経験と知識

医療ビジネスのプロセス経験

薬事、臨床、研究開発、生産、営業プロセスなど、医療ビジネスのプロセスに関わった経験が求められます。医薬業界は専門性が高く、各業務の深い知識が必要です。これにより、医薬業界の共通言語を理解し、コンサルティングに応用することができます。

医療従事者としての経験

医師や薬剤師としての実地での経験も重要です。医療ビジネスの最前線で得た知識と経験を活かし、コンサルタントとしての問題解決能力を高めることができます。

他業界でのビジネス経験

医療に関する知識を持ちながらも、他の業界でのビジネス経験を持つ人材も求められています。ヘルスケア産業の特殊性を理解しつつ、他業界の経営課題解決の知見を応用することで、より効果的なコンサルティングが可能になります。

5. ヘルスケア業界の重要性と未来

ヘルスケア業界は、企業の挑戦を後押しする存在であり、コンサルタントはその支援を通じて挑戦者に優しい世界を創り出す役割を担っています。この10年で不治の病だった病気が治療可能になり、医学の進歩が進んでいます。医療をビジネスの視点から捉え、進化させることは、今の、そしてこれからの人類の未来を変えていくことに繋がるのではないでしょうか。

6.まとめ

ライフサイエンス・ヘルスケア業界のインダストリーコンサルタントが向き合う顧客は、総じてこれからの人類の未来を変えていく存在です。向き合う課題は、国ごとに異なる法規制への対応、コスト削減圧力への対処、リスクマネジメント、新たなエコシステム作りです。活かせる能力や経験は、ライフサイエンス業界の専門性、医療現場のリアルな知識、医療の基礎知識とビジネス経験の融合です。

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