株式会社リヴァンプ スペシャルインタビュー

今回は、「企業を芯から元気にする」という企業理念のもと、ハンズオンでの経営執行支援を通じてバリューアップを実現する、ユニークなスタイルを持つ株式会社リヴァンプの取締役 執行役員 千田勇一様にインタビューを行いました。
 

株式会社リヴァンプ 取締役 執行役員 千田勇一様

 

●経営そのものをこなすプロフェッショナル集団として

千田様のプロフィールを教えてください。

 

千田様:2006年に新卒でゴールドマン・サックス証券の投資銀行部門に入り、2009年3月まで資金調達や財務アドバイス、M&A、自己勘定投資などを担当し、2009年4月にリヴァンプに参画しました。現在リヴァンプに入社して14年目になります。

 

 

ゴールドマン・サックスでのご経験があれば、プロフェッショナルファームやファンドなどの転職における選択肢もあったと思います。その中でリヴァンプを選ばれたと思いますが、その決断の背景は何ですか?

 

千田様:私は外資系のプライベートエクイティが日本で立ち上がる時代に社会人になりました。プライベートエクイティは投資業の延長の姿であり、本質的には証券ファイナンスサービスと理解しております。それはそれでとても高度でプロフッショナルな職業だと思いますが、私はファイナンス側よりもオペレーションの方に興味があったので、オペレーションに関わるキャリアを積みたいと思い、2009年に一旦ファイナンスのキャリアは卒業をして、リヴァンプを選択しました。

 

 

その中でなぜ、他のコンサルティングファームではなくリヴァンプを?

 

千田様:新卒時はコンサルティングファームを受けていたので、興味がありました。当時のコンサルティングファームは素晴らしいプロフェッショナルサービスの姿でしたが、オペレーションそのものは出来ないフィールドでした。私は経営そのものを仕事にしたいという想いがあったので最終的にコンサルティングファームは一切選択肢に入りませんでした。
リヴァンプは外から見るとコンサルティングファームの一つに見えるかもしれませんが、我々は一般的なコンサルティングサービスを提供しているわけではなく、経営執行そのものを対象として、経営陣とともに伴走して執行していくことを仕事としています。

 

 

経営執行支援を投資ファンドの要請を受けて入っていくこともあるとお伺いしました。ファンドと連携したバリューアップを図るバリューアップファームや、事業再生を手掛けるターンアラウンドファームはプレイヤーとして多々あると思います。ただ、その中でもCxO代行まで踏み込むプロフェッショナルファームはかなり珍しいという認識です。それはなぜでしょうか?

 

千田様:いくつか理由があると思います。例えば欧米だと市場の流動性があり、市場に人材もいるので基本的にはCxOは転職で埋め合わせが出来ます。しかし、日本の市場には充分な量の流動性がなく、市場では十分なCxOのアサインが出来ません。これはいわゆる日本の市場の特殊性だと思います。そこに対してその機能を提供しようと20年ほど前に弊社が設立されました。経営者の排出を目的の一つとして設立された会社は、当時はほとんどありませんでした。コンサルティングブティックはほとんどコンサルタント出身の人が作っているので、コンサルティングファームの進化型をどう作るか?の思想が多いと思います。一方、リヴァンプの創業メンバーは事業会社出身で、コンサルタント出身ではありません。そのため、経営者をどう育成するか?いかに経営力を高めるか?が会社設立当初からのキーコンセプトとなっていて、同じような会社は他に存在しないと思います。今コンサルティングマーケットは成熟してきて、ハンズオンでの実行支援・CxO代行を行うとしているファームも増えてきていますが、実際に執行に深く関与するモデルには蓄積された組織知も必要です。我々のように20年以上前から実行支援やCxO代行を行ってきているのは、日本では珍しい存在だと思いますね。

 

 

他のプロフェッショナルファームがもっと早く参入してこなかった理由は何だと思いますか?

 

千田様:今でこそ、プライベートエクイティは社会的機能としてとして認知されているので、案件も増え、その傘下での経営体制の流動性も高まってきています。ただ10年20年さかのぼると経営はそんなに流動的ではなく、創業者が社長を継続しているものか、生え抜きの社員が取締役として就任していたものが中心のため、そもそもそういう外部からCxOを招集するという機会が限られていました。
また日本のマーケットはCxO人材の流動性が低かったことから、経営を仕事にしたいという欲求を持つ人材が生まれにくかったのも、他の会社が参入しなかった理由の2つ目だと思います。
加えて、プロジェクトワークで成果物を納品するビジネスから、経営結果を求めていく、コミット型のビジネスに変えるのは経済的合理性が低いために誰もやらなかったと考えています。

そもそも、創業の二人がビジネスモデルより、理想を最初に持ってきたのがリヴァンプの起源です。経済的合理性を考えたら、この事業をやる必然性は薄かったと思います。

 

 

この事業を成り立たせるうえで大事なことは何だと思いますか?

 

千田様:1つ目は支える人だと思います。やはりすぐにできるようになるものではなく、十分な経験やノウハウが必要です。転職してすぐに価値を出せる例は少なく、一定の能力を持ったメンバーをどれだけ育てていけるかがポイントだと思います。
2つ目はそういうメンバーが腕を研鑽する場所や案件です。経営執行の案件の累積事例数は日本で一番有していると思います。したがって、それらから抽出された成功や失敗のノウハウはリヴァンプがもっとも持っていると思います。案件を継続的に頂けているのはクライアントとの深いリレーションです。機関投資家としてのプライベートエクイティもいますし、創業社長様、大手企業の投資先、海外本社の日本支社の立ち上げなどの様々な企業オーナーの方からのお引き合いを頂いております。非常に長い年月をかけて信頼関係を築いていることが重要になります。

 

 

いろいろな苦難があったかと思いますが、事業が立ち上がるまでの間で印象に残ったことを教えてください。

 

千田様:2005年創業で私が入ったのは2009年なので、最初の3年か4年くらいはあまり知らないのですが、聞いた話だと、ほとんどの案件はそう簡単にうまくはいっておらず、仮に10件あったとしたら1勝9敗みたいな状態だったと聞いています。創業時には話題にもなっていたので案件はたくさん来て、転職マーケットでも「リヴァンプに行くと社長になれるぞ」と言って人が集まってきて、実際に多くの社長を生み出しましたが、実際は上手くいった案件ばかりではなかったと聞いています。
当時の反省は会社として何かノウハウとか訓練を積んだわけではなく、ただ経営者候補者が右から左に通り抜けていった状態だったことです。確かにそれでは会社としてやっているバリューがないし、成功確率を高めることはできませんでした。私が入った2009年か2010年くらいから成功確率を高めるための組織としての取り組みを開始していて、もちろん最初の方は失敗確率がすごく高くて、失敗の学びのほうが多かったですが、それが重なるうちに成功率が向上してきて今に至ります。

 

 

組織としての取り組みを開始してから、どんなノウハウを確立したのでしょうか?

 

千田様:当初は何を体系化していいかわからなかったですし、体系化できなかった頃は当たるも当たらないも人次第みたいな状態でした。その中で、何をすべきか、何をすべきではないかということを積み重ねてきたのだと思います。あとはそれを支えるネットワークが確立してきたのが大きいと思います。特に、このネットワークという部分については、一般的なコンサルティング会社は事業をやっていないので、通常業務では構築できないネットワークです。

 

 

そのネットワークとはどんなものなのですか?

 

千田様:例えば私は8年くらい前にタピオカミルクティーの「Gong cha Japan」の日本進出を支援しました。我々が0店舗から50店舗まで立ち上げて、韓国の本社ごとアメリカのファンドにイグジットしたのですが、あれが上手く立ち上がったのは我々がその前にクリスピー・クリーム・ドーナツやコールドストーンなどの支援実績があったからです。ファーストフードスイーツチェーンをやったことがバックグラウンドにあったので、私たちには一緒に事業をやっていただけるパートナーの会社がたくさんありました。それこそタピオカを運んでもらう物流会社をどこにお願いするかや最初の出店をどこにするかなど、デベロッパーさんや内装会社さんといった実業を行っている企業とのネットワークが備わっていたからこそできたわけです。たぶんゼロから机の上で調べてもこのような形を作ることはできなかったと思います。過去事業を作ってきた中で培われたパートナーシップのネットワークですね。
今のは飲食の例ですが、アパレルであれば違うネットワークがあって、事業者としてのネットワーク・信頼関係というものがベースにあるので、この点だけ持ってしても、リヴァンプはコンサルティング会社ではなく、どちらかというと商社などに近いなと思います。

コンサルティング会社ってある止まった時間の中でプロジェクトをやって、その時間軸の中で最高の答えを出すのがコンサルティングだと思いますが、我々は流れている実商売の中で取り組む仕事なので、最初の1か月で描いた絵が前提条件ごと変わっていくのはよくある話です。そういう時はその場その場での判断で進んでいくので、流れがあるという意味では事業家に近い形かと思います。

 

 

確かにスコープを切ってこの納品物で・・というタイプのスタイルではないですね。

 

千田様:そもそもスコープはあまり切らず、もちろんレポートは必要に応じて作成しますが、それ自体を売り物にすることはあまりありません。どれだけ企業価値の向上や目的の達成ができたかが我々の仕事の最終成果物です。我々のプロジェクトのほとんどのケースでは成果報酬を入れていたり、共同投資を行ったりしています。これはコンサルティングファームではない思想ですが、結果責任を持って評価されることがビジネスモデルとなっています。

 

 

一部のターンアラウンドファームでやるくらいですね。そのスタイルは。

 

千田様:数多いコンサルティングファームの成果報酬体系はコストを何パー削減したら・・等を多く聞きますが、それらは経営の一側面でしかないですし、一番成果の図り方として分かりやすく簡単ですが、すべての経営の側面に対して寄与できるわけではありません。我々はコスト削減も含みますが、そこにとどまらない企業価値向上全体を成果のポイントにするのが基本思想ですね。

 

 

ちなみに成果報酬とはどのようなものですか?

 

千田様:成果報酬の設計はケースバイケースであり、キャッシュフローベースの場合やエクイティベースで共同出資する場合、またそれらをミックスする場合など様々な方法があります。企業価値が上がった時に評価される設計を目指しています。

 

 

その際の企業価値の算定方法について教えてください。

 

千田様:基本的にはコーポレートファイナンスにおける企業価値評価をベースにしています。例えば、「Gong cha Japan」は日本の企業価値に対する割合という形でリンクされていました。

我々は作業に価値を見出しているのではなく、事業に価値を見出し、ゴールを実現することに対してフィーをもらう形にしているため、既存のコンサルティングビジネスとは異なるものとなっています。しかし、外部から見るとコンサルティング会社の一つに見えることがあり、その違いが理解されにくいという課題を感じています。前段でもお話しましたが、コンサルティングビジネスというよりは、商社・事業会社・投資会社に近いと思います。

 

 

ファンドの投資先の企業価値を上げるために、ファンドからの要望も多いと聞きますが、それはどのように対応していますか?

 

千田様:ファンドからの要望が増えているというのは結果論であり、要はファンドでも創業者でも、企業のオーナーが所有企業の経営改善を依頼するという構造です。株を持っているオーナーであるからこそ、抜本的な経営改革を望み、我々にご依頼を頂ける、という構造になっています。

 

 

ビジネスモデルの構造を教えてください。

 

千田様:我々の報酬は、ランニングの活動費と成果報酬からなり、場合によっては投資を交えるケースがあります。ビジネスモデルとしては商社に近く、商社がコンビニエンスストアをグループ経営している様な状況です。次のコンサル会社への転職というよりかはコンサルを卒業した後の仕事です。不可逆的ではないですが、違うキャリアに変わるということです。

 

 

●「コンサルタント」ではない、「プロ経営者」のキャリアとは

 

コンサルタント経験者がリヴァンプにジョインする意味合いをどのようにお考えですか?

 

千田様:コンサルティング事業を次のファームでやるというよりかは、コンサルティングを卒業していざ事業の方に近づこうというキャリアだと思います。
この5・6年案件のラインに入って経営陣の一部として関与することが多いのですが、その際に様々なコンサルティングファームの方々とご一緒することもあります。コンサルティングファームにしかないスペシャリティはたくさんありますし。逆に、我々がやっていることをコンサルティングファームはやっていないので、そこは非常に補完的な側面もあると思います。

 

 

アソシエイトクラスの役割と得られる経験について教えてください。

 

千田様:アソシエイトクラスはその上のレイヤーの補佐的な役割であり、必要十分な経験とスキルが付けば、次のレイヤーの職位と同じような仕事をすることができます。案件のサイズやシチュエーションによって幅はありますが、まずは自分が出来て企業価値に貢献しやすいことからやっていただきます。
全く違うことというよりかは類似したことの導入編をやっていくというイメージです。
コンサルティングファームだと、マネージャ―はプレゼンテーション、アソシエイトは分析、シニアマネージャ―は営業とやっていることがレイヤーごとに違うことが多いと思います。我々はそういうレイヤーではなく非常にシームレスです。経営者になることをかみ砕いた中の小さい部分からやっていき、十分なスキルが積めれば経営的なこともやります。我々の仕事の要素には経営判断があり、経営判断は場数を踏まないと上手くなりません。コンサルティングの仕事はお客様が経営判断をするので経営判断をしません。一方リヴァンプでは小さくても経営判断が出来るのはとても重要な要素のうちの一つで、経営者として成長する上で、リヴァンプはその環境を準備することが出来るフィールドです。

 

 

事業会社から経営コンサルに行くとどのように世界観が変わるのですか?

 

千田様:少し前までは、事業会社から経営コンサルティングファームに行くことはステップアップと考えられていた時代もあると思います。ですが、私は事業会社から経営コンサルに行くことだけが、ステップアップとは思いません。
コンサルティングのアプローチはこの数年でかなり一般化したので、昔のような一部のプロフェッショナルにしかできない特殊な仕事ではなくなりました。事業会社であっても、コンサルティングの手法自体は活用、学習可能です。例えば、スタートアップのキャリアの人たちはコンサルティングファームやMBAを経る時間よりはいち早く起業する傾向にあります。事業会社でたくさんの事業と質の良いポジションを経験することが経営力を上げていくためには必要だと思います。

 

 

事業会社の企画職とリヴァンプのスタッフの違いは何でしょうか?

 

千田様:スキルの幅が広く、またそれらが企業特有でなくポータブルな能力として身につくことが一つの違いです。日本の話で言えば事業会社はまだ曖昧な部分が多く、背中を見て育つことが多いですが、ジョブローテーションもあり、どういうスキルセットでキャリアを築けるかが不明確です。欧米型の組織であれば明確なキャリアパスがあることもあります。欧米型の組織では、何をするためにはどのような能力が必要かを明確にしていますが、日本の事業会社はまだジョブ型ではなく、終身雇用前提の雰囲気があります。我々はハイブリッドで何をするためにはどういうスキルセットや経験が必要かということを知る機会を明確に提供しています。
日本のマーケットにおいては経営を実践できる場が重要です。我々は場を持っており、経営を実践できる案件があるのが一番大きいと思います。経営者になりたい人には、いくつかのパターンがあると思うのですが、出世したいという意味と経営者になりたいという意味が混ざっていることがあります。個人的な意見ですが、単に出世したいということであれば、会社を決めてそこに合わせたスキルや経験を磨くべきです。経営を仕事にするためには、基本を抑えて、多数の経験を積むこと必要です。しかし日本では打って出る場がない。若いと最近はスタートアップに行ける雰囲気はあるものの、少し年を取るとそれは一世一代の転職になってしまいます。日本ではそういった挑戦者に対するエコシステムがまだうまくできていないと思えるので、我々はミドルリスクミドルリターンかもしれないですが非常に候補者にとってプラスとなるキャリアを体現していると思います。

 

 

プロ経営者としてCxOラインでの仕事をしている方がリヴァンプでキャリアを続ける理由は何だと思いますか?

 

千田様:いまだに自分一人では入手できない機会や学びがあるからだと思います。また、仲間がいることも重要です。一人で動くよりチームで動いた方が、多面的な価値の作り方が可能です。組織としてできることは、そうした個人だけでは得られない+αを作り続けることなので、もしそこに価値を感じなければ、卒業していく人もいるでしょう。

 

 

プロ経営者になるためにはどのような要素が必要ですか?

 

千田様:プロ経営者になるためには、自分のやり方を具現化するための阿吽の呼吸を知っているスタッフが必要です。ただし、現在の日本の裾野はまだ浅いため、一人で動くことが多くなります。いきなり落下傘のように降り立ったアウェイの会社でゼロから人間関係を作り、ファンクションを組みたてて1年以内に成果を出せというのは結構難しい戦いです。欧米ではプロ経営者は自分のスタッフを連れてチームアップして変化を推進していきます。我々リヴァンプはリヴァンプチームで集合することで疑似的にチームアップをした状態で企業経営に臨むので、そこが強いところでもあります。

 

 

リヴァンプに参画頂きたい方に対してのメッセージをお願いします。

 

千田様:弊社を検討いただいている方の中には経営者になりたいと思っている方だけではないと思います。自分が経営者そのものではなく、経営者を支える参謀になりたいという方もいると思います。
それはそれでいいと思っています。
経営者になりたい人は 経営的技術を学び 経営者として腕を研鑽する機会を求めてやってきてほしいと思いますし、経営者の近くで働きたい経営者を支える参謀としてのプロフェッショナルでありたいと思う人もぜひ来ていただきたいです。極めて経営者と近い位置で仕事ができ、またノンスコープで幅広いプロフェッショナリズムをベースに経営に当たれるのは極めて得難い機会だと思います。投資、ファイナンス、IT、マーケティングそれらを一気通貫で経験できるようなプロフェッショナルファームは多くはないので、 本当の実務に活きるスキルセットとそれを活かせるフィールドがあるリヴァンプでは、経営者になりたい人、経営参謀になりたい人にとっても良いキャリアであると考えております。