株式会社クニエ Financial Management Transformation スペシャルインタビュー

今回は株式会社クニエ(以下、クニエ)にて企業の会計課題の解決に取り組むFinancial Management Transformation(以下、FMT)の岩根 知幸様・鈴木 哲也様・下山 慶太様・吉永 和弘様にお話を伺ってきました。

左: 株式会社クニエ FMT シニアパートナー 岩根 知幸様

右: 株式会社クニエ FMT マネージングディレクター 鈴木 哲也様

 

ご経歴紹介 ※HPより引用

 

・岩根 知幸様 シニアパートナー/ファイナンシャルマネジメント担当
大手電気製造業出身。十数年間、外資監査法人系コンサルティングファームで数多くの経営管理・会計系コンサルティング経験を経てQUNIEに入社。IFRS対応、連結会計を主軸とするグローバル経営管理、予算や原価管理、業績評価制度などの分野で、業務およびシステムの両面から、お客様の企業文化に即したコンサルティングを行うことに強みを持つ。

 

・鈴木 哲也様 マネージングディレクター/ファイナンシャルマネジメント担当
会計系コンサルファーム、大手SIer等を経てQUNIEに入社。会計ビックバン対応から継続して連結会計・連結業績管理領域でのコンサルティングに従事。複数の連結システムの開発経験を持ち、業務とIT双方の豊富な知見と多くのプロジェクト経験を活かした実践的なプロジェクト支援に定評を有する。現職ではQUNIE会計チーム内の連結領域サブリーダーとして、ファイナンス部門の支援に日々従事している。

 

・下山 慶太様 マネージングディレクター/ファイナンシャルマネジメント担当
外資系大手監査法人出身(公認会計士)。同コンサルティングファームで数多くの管理会計・経営管理コンサルティングを経て、事業会社に転職しCFO/CIOを担う。現在、QUNIEにて、グローバル経営管理・予算管理・業績管理、グローバル資金管理、AI/RPAなどを活用したデジタルアカウンティング、および独立行政法人会計などの公会計で、制度、組織、業務、およびシステム面から、コンサルティングをリードする。

 

・吉永 和弘様 ディレクター/ファイナンシャルマネジメント担当
公認会計士試験合格後、外資系コンサルティング会社を経て、2009年よりQUNIEに入社。会計領域のコンサルティング経験20年超。連結会計、グループ経営管理、会計領域における業務BPR、制度・管理会計システム導入、会計領域の全般的基本構想策定を中心に多数の会計領域のコンサルティングに従事。現在、QUNIEにて、予算管理、原価管理、EPM/BIシステム導入、IFRS対応のソリューションのリードを担当。

 

●それぞれの強みを掛け合わせ、会計的視点から企業の課題をトータルで支援するFMT

会計チームの組織構成について教えてください。

 

私たち会計チームは国内外のメンバー含め64名の組織となっており、大きくFMT東京とFMT secondary(海外拠点のFMTチーム) の2つに分かれています。FMT東京はさらに3つのチームに分かれており、Accounting for Business and Public sector(以下、ABP)・Advanced Budget and IFRS(以下、ABI)・Corporate Performance Management(以下、CPM)という構成になっています。1つ目のABPは管理会計・公会計をメインに支援しており、特に金融系や官公庁系の案件に強みを持っているチームです。2つ目のABIは経営管理・会計(IFRS対応等)をメインに支援しており、主に製造業のお客様に対して予算管理や原価管理の支援しているチームです。3つ目のCPMはグループ経営管理、連結業績管理をメインに支援しているチームです。3つのチームにそれぞれ強みや特色はありますが、完全に独立して存在しているわけではなく、お客様の課題に合わせて各チームがそれぞれソリューション出し合い協力して最適なサービス提供を考え提案し実践しています。
また、クニエは海外拠点にもFMTメンバーを有しており、そのうちのタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナムでは現地に進出した日系企業また現地企業の経営管理や会計に関する課題解決にも取り組んでいます。このようなチーム制を導入している理由としては、メンバー全員に1つ軸となる専門性を持ってもらうため、個々チームとして一人一人のキャリアを考えしっかりと育成をしていくためです。一方で、アサイン面ではチームを超えて行うことも多々あり、日本企業がもともと有している「人とのつながり」や「助け合いの精神」といった良い文化を大事にしそれを強味にしてサービス提供をしています。

 

 

会計チームのミッションについて教えてください。

 

会計的視点からクライアント企業における経営・事業戦略実現に必要な経営管理体制の構築及びその運用に必要な施策の実現を支援することをミッションとしています。我々は単に会計システム導入や経理業務の改善を行うのではなく、企業が経営・事業戦略のもと経営していく中で重要となる経営管理体制全体にフォーカスを当てています。具体的な経営管理体制としては、①基本的な考え方や方針作り、それを動かす②組織・人と③業務プロセス、それらを支えている④システムやデータを指しています。これらをトータルにコンサルティングすることで会計チームとしてのミッション達成を目指しています。

 

具体的な支援内容について教えてください。

 

コンサルティングを行う個別ソリューションを9つのカテゴリー、「Globalization」「Finance Strategy」「Governance」「Financial Accounting」「Management Accounting」「Tax,Treasury and others」「Human & Organization」「Business Process & Rule」「Data & System」に分けています。

昨今の企業が抱える課題は多岐に渡っており複雑です。その原因もひとつではなく、この9つのカテゴリー内のいずれかが複数が足りないケースがほとんどです。そこで私たちは特定の分野に強みを持った3つのチームを設けメンバー個々がそれぞれの力を出し合いそれらを掛け合わせることで、お客様の実情に合ったソリューションを組合せてサービス提供を行っています。

※詳細なサービス内容
株式会社クニエ Financial Management Transformation
https://www.qunie.com/wp-content/uploads/2018/11/financial_management_solution.pdf

 

●各チームのご紹介

CPMチーム:鈴木様

 

CPMチームは現在17名組織であり、主に連結会計・連結業績管理領域を担当しています。私たちのクライアント層は連結やグループ経営をテーマとしている関係で大手企業が多く、その中でも親会社側のコーポレート部門が主なカウンターパートとなります。対象業界としては連結会計が大きなテーマとなる商社やグローバル展開している自動車、ハイテク、小売りが多くなっています。
連結会計の領域は専門性が高く参入障壁が高いため、意外と競合他社が弱い傾向にあります。CPMチームにはコンサルティングファーム経験者の他、一般事業会社やSIer出身者が多く在籍しており、この領域に専門知見を持った人材が集まっています。

現在企業が直面している課題は多岐にわたります。具体的な例として、管理会計は企業によってある程度自由度がありますが、最終的には投資家に開示しなければならないため、制度決算側と連動しない実績数値は管理会計上の信憑性も失ってしまいます。よって私たちは自ら連結決算を行うことができる専門性を有しながら、そこから管理会計をどうしていくかという支援を行っています。
その他、海外のグループ会社の管理に課題を抱いている企業への支援や、業務改革を行う際の会計業務とIT・システムをつなげる役割も担っています。

現在私たちのチームでは、超大手企業向けと準大手・中堅企業向けの2つの領域を強化しています。超大手企業については、大手ならではのダイナミックスさがありグローバル案件が多く、一緒に並走して支援を行うスタイルを好む傾向があります。この領域は私たちの強みの領域であるため、引き続き強化していきたいと考えています。一方、最近では準大手・中堅企業向けの支援も注力しています。この領域では前述の超大手企業向けと異なり、CxOやCFOの近くで、そもそも管理会計とは?といった企画構想段階から支援を行います。従来の超大手企業向けの支援を継続的に行いつつ、新たに準大手・中小企業向けの支援にも取り組むことで、ケイパビリティを広げていきたいと考えています。

 

ABIチーム:吉永様

 

ABIチームは現在12名組織であり、予算管理を中心とした経営管理高度化、KPIマネジメント、FP&A、会計基準標準化といった会計領域のPDCA管理サイクルを適切に循環させる仕組みづくりを支援しています。特に製造業のお客様に対する予算管理や原価管理の支援に関しては多くの実績があり、高い専門性と豊富な経験を自負しています。
最近の経営管理領域では、以前に比べて幅広い情報を取り扱うことが求められるようになってきています。例えば、PSI管理における販売・生産・在庫の物量と整合がとられた予算管理が求められたり、事業環境の変化に対応するために分析・シミュレーション機能が重要視されたり、SDGs情報の開示と関連して非財務情報の経営管理への取り込みも求められています。
私のチームでは、特定領域に留まらず幅広い知見を習得し、クライアントに対して、全社管理から事業管理・生産管理までの業務領域で、構想策定から運用・定着まで一気通貫したソリューションを提供しています。このため、各メンバーにも幅広い知見の習得が求められますが、全てを個人でというより、様々なバックグランドを持ったメンバーが相互に協力し知見を出し合い、また、FMT内、クニエの他のチームと協業しながら、サービス提供しています。このため、個々メンバーにとってはチームの枠を超えた学習・成長の機会が数多くあると認識しています。
クニエ全般に言えることですが、クライアントには変革のパートナーとして伴走型でサービス提供を行い、クライアントからも信頼性を獲得できており、各メンバーはやりがいをもって日々業務にあたっています。

 

 

ABPチーム:下山様

 

ABPチームは現在16名組織であり、「クライアントのレジリエンスに貢献する価値を創造する」ことをチームミッションとして掲げ、CFO組織が直面している課題解決に取り組むことで、オペレーショナル・エクセレンスの実現を支援しているチームです。このチームミッションを支えるのが、3つのC、「Creation=次代の基幹ソリューション構築」、「Collaboration=グループ会社とのビジネス連携」、「Communication=チーム内のコミュニケーション促進」です。
主に取り扱っているソリューションテーマは4つあり、「財務会計・管理会計」「BPR w/ DX」「資金管理・サプライチェーンファイナンス」「コンプライアンス・ガバナンス」です。うち、チームにとって基幹ソリューションテーマとなっている「BPR w/ DX」関連では、経理・財務業務に限らず、P2P(Procurement to Payment:発注から支払)やO2C(Order to Cash:受注から回収)プロセス全体を一気通貫でDX対応する案件やシェアードサービスの導入などの組織構造改革案件などが挙げられます。
「BPR w/ DX」の取り組みを支援する結果としてData to Dataの環境が整備されることで、「Data driven management」の案件が増えてきており、これがチームにとって次代の基幹ソリューションテーマとなっています。「Data driven management」では、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)も取り扱っています。生成AIについて、今やその言葉を聞いたことがない人はいないと思われますが、LLMとは、大量のテキストデータから学び、人間にわかる言語でテキストを生成するAIモデルのことです。私のチームで支援している案件では、LLMを経理・財務業務での活用を図っています。具体的には、FP&A(Financial Planning & Analysis:財務計画・分析)、内部統制などがあります。
また、一般事業会社のほか、金融機関や公共機関へもコンサルティングを行っていることも私のチームの特徴となっています。

 

 

●常に顧客目線に立ち、「真に」顧客の課題解決を目指すFMT

FMTチームの今後の方針について教えてください。

 

それぞれの領域で注力していきたいものはありますが、1番大事にしていることは、所属メンバーのやりたいことを尊重できる環境作りでありそれを今後も続けたいと考えています。それぞれクニエに入社してきた、また転職してきた背景には「企業が抱えている何かしらの課題を解決したい」「自分の知識を深めつつ、社会に貢献していきたい」「お客様とともに成功を分かち合いたい」といった思いがあると思います。そのような熱い思いは実際にコンサルティング業務を行う上で非常に重要でかつ強力な活力になります。そうした熱い思いを持ったメンバーを後押しできるような環境のチームでありたいと考えています。
また、競合他社のように急激な拡大を目指すのではなく、着実な成長を目指してしています。現在1つの案件に対して平均3-4人のコンサルタントが参画する少数精鋭の体制をとっており、お客様の中でしっかりと定着化してからリリースすることを徹底しているため、長いと年単位での案件も存在します。今後のチームの成長を考えた際に、単に人数を増やすのではなく、コンサルタントの一人一人を着実に成長させ(成長してもらい)、個々がBy Nameでお客様に指名されるような人財の集団にしていこうと考えています。そのためコンサルタント育成にも力を入れており、その人財育成の土台・サイクルに合わせた採用計画のもと人員採用を図っていきたいと考えています。

 

競合他社との差別化について教えてください。

 

立ち位置の違いだと思います。競合他社の多くが注力しているDXを例に挙げると、他社はDXをパッケージ化したソリューションとして企業の課題解決を行うアプローチをしているように見受けられますが、我々クニエもDXの提供はしていますが、DXありきではなく常に顧客目線で業務的視点から根本課題に向き合う姿勢をとりDXをあくまでツールとしたアプローチをとっています。ある課題に対して、DXソリューション側から見るのと、顧客の業務側から見るのでは大きくソリューションの幅や内容が異なってきます。つまり、全ての課題を100%解決できるDXはないからこそ、純粋に顧客側に立って業務視点から課題に向き合う姿勢が大事であり真に必要なソリューションを生む出す糸口になると信じています。
また、クニエとして各チームリーダーに高い数値ノルマを課していない点も他社と大きく異なります。数字責任を強く持たせると、本来公正かつ適切な規模と内容のソリューションを提供すべきコンサルティングが、自らの数値達成のための規模を優先したソリューション提供にとって代わってしまうからです。確かにDXソリューション導入は大型化・利益化がしやすいと思いますが、私たちは自社の利益のみを追求するのではなく、あくまでもお客様の課題を解決することを念頭にしている点が大きな差別化となっていると思います。

 

最後にメッセージをお願いします。

 

今後は会計領域のコンサルティング経験者や事業会社の経営企画などで新たなことに取り組んできた方、会計システムに明るいSIerご出身者、会計のいずれかの領域に専門性を持っている方など、ポテンシャルも含めて良い方がいれば是非お会いしたいです。入社後にはいずれかのチームに所属し、何かしらの軸を持っていただくこととなりますが、新たな軸を自ら作れるマネージャー以上の方の採用も大歓迎です。それぞれのバックグラウンドを活かしつつ、入社後にどのようなキャリアを築いていくかは、部門間の壁が存在しないクニエだからこそ選択の幅を広げることができる、そこが大きな魅力だと思っています。近年の経理財務領域は単なる数字ではなくなってきており、幅が広がってきています。例えばサステナビリティや非財務領域が挙げられますが、結局企業全体の数字を見ている経理財務部門が関与することとなります。そのような新しいニーズに対して、私たちもお客様の課題を解決すべくケイパビリティを広げていければと考えています。